キッチンづくりをする際、まず気になるのがその価格でしょう。
キッチン本体や設備機器のグレードは上げると価格が上がります。その裏には、自分の時間を確保出来たり、気持ち良くモチベーションアップ出来たりと、思い掛けないメリットが出現します。しかし、予算も限りがあるし…、できれば低く収めたいと思う気持ちもわかります。
キッチンの価格はどこで差が出てくるのかを良く知ることが肝要です。システムキッチンを例にキッチン価格についてお伝えします。これらを知っていると、「予算をかけるべきところ、削れるところ」が見えてきます。
システムキッチンはメーカーごとに色々な商品シリーズを展開しています。
一般的には、高級ライン・普及ライン・基本ラインを揃えており、価格帯も高級ライン⇒基本ラインへと下がっていきます。まずは、予算からどの商品ラインが適しているのかを把握することが大切です。
ただ、商品シリーズ内でも内容によって価格に大きな幅が出てきます。たとえば、高級ラインのシステムキッチンの商品価格帯はおよそ100万円~250万円などと、幅をもって表記されていることもあります。この差はどこからくるのでしょうか?
システムキッチンはサイズやパーツを多くの選択肢から選べるイージーオーダー。なので、その選択内容によって同じ商品シリーズでも価格に差がでるのです。
まずは、キッチンのサイズでしょう。サイズは規格化されており180cm、195cm、210cm、225cm、240cm、255cm、270cm…、奥行きは60㎝、65㎝などで商品展開されています。もちろん、サイズが大きくなるほど価格はアップします。
システムキッチンでは多くの商品が、壁に向けて設置する壁付型、ダイニング方向に向けて設置する対面型(ペニンシュラ型やアイランド型)に対応しており、キッチンスタイルも自由に選べます。
壁にくっつけて設置する壁付型に比べ、ダイニング側の仕上げが必要になるペニンシュラ型やアイランド型のほうが価格は高くなります。
ここまでで、大きなところではサイズやスタイルで価格の差が出ることがわかりました。
ただし、システムキッチンはその他のパーツ選びにおいても、価格はずいぶんと変わってくるのです。
扉材はその占める面積の大きさからも価格への影響が大きいといえるでしょう。一般的にはどの商品シリーズにも素材、仕上げ、デザイン、色など多彩なラインナップが用意されています。
一般的な扉材といえば、木質系素材で作られたボードの表面に色や柄をプリントした樹脂シートを貼り、さらにコーティングをして仕上げたものになります。その他、樹脂シートではなく天然木の突板を使ったものもあり、ナチュラルな仕上げが人気です。扉材では天然木を使ったものや鏡面仕上げが、価格が高くなる傾向があります。
色や柄だけでなく、つや消しなのか鏡面なのかなどの仕上げの風合いによっても空間の印象はがらりと変わります。収納キャビネットにも同じ素材を使う場合もあり、どの素材を選ぶかでかなり大きな金額変動があるのが扉材。ぜひ、ショールームで実物を見て慎重に決めたいところです。
キッチンにおいてワークトップも価格の大きなポイントです。よく使われるのがステンレスと人造大理石です。ステンレスは汚れや傷に強く、昔からワークトップやシンクに使われてきた素材ですが、最近では色やデザインが多様な人造大理石を取り入れるご家庭も多くなってきました。価格としては、人造大理石のほうがステンレスを上回ることが多いです。
オプションの選択肢も多く、ひとつひとつきっちりと選びたいのが設備機器です。
まず、必ず必要となるのは加熱機器です。ガスコンロかIHヒーターかだけでなく、その搭載機能によっても価格はかなりの違いがあります。最新機種では、便利な調理アシスト機能がついています。自分に必要な機能は何かを見極めて、選ぶ必要があります。
その他のビルトイン機器でいえば、食器乾燥機(食洗機)やオーブン(オーブンレンジ)があります。両方とも後でビルトインにするのが、費用面でも作業面でも大変なので、キッチンづくりの計画段階で必要か、そうでないかを見極めることが大切です。
その他、シンク、水栓からレンジフードや収納キャビネットにいたるまで、すべてのパーツにおいて選択肢があり、もちろん機能や扉材により価格は変わります。
全体的に言えることは、システムキッチンの高級ラインほど選択肢も多く、そのため選ぶ内容によっては価格の幅が大きくなります。また、新しく登場した素材や設備機器は高級ラインでしか採用できない場合があります。
要は、キッチンのどの部分に予算を割くかをきっちりと考える必要があるということです。予算に限りがある中では、「デザイン性は譲れないので扉材に予算をかけて設備機器は少しグレードを落とす」、「食洗機は絶対ビルトインで高機能にしたいので、キッチン本体のグレードを下げる」など、譲れない部分、妥協できる部分を見極めてメリハリをつけることが大切でしょう。