扉材がキッチンの大きな印象を決めることは「キッチンパーツの素材選び01 扉材で印象が決まる」でお話しました。
今回は、もうひとつの大きなポイントとなるワークトップについて説明いたします。
ワークトップとはキッチンのシンクとコンロ、作業スペースをつないでいる板のことで、「天板」「カウンタートップ」と呼ばれることもあります。
主に作業台として使用するので、強度と耐水性、耐熱性に加え、掃除のしやすさ(汚れが染み込まない、拭きやすい)などがポイントとなります。
たとえば、熱い鍋をそのまま置く、かぼちゃなどの硬い野菜を切るなどといった、調理中によくある動作をストレスなくできるかはとても重要です。どう大切に使ってもこれだけの作業を毎日行えば、汚れや傷はつくものですから、ガンガン使っても安定感・安心感があること、お手入れしやすく、清潔を保てる素材を選ぶことが重要になります。
たとえば、最近ではパンやパスタをご自宅でつくる方も多いので、その場合、力いっぱい生地をこねる作業をできる強度があるのか、という視点もプラスすべき要素になるでしょう。ご自身の暮らし方、お料理との向き合い方を考えて選んでみてください。
ワークトップはキッチンの中でも大きな面積を占めるので、その色や柄、質感によってキッチンの印象を大きく左右します。とくにオープンキッチンの場合は、インテリアとしての調和が必要になります。
扉材とのコーディネートはもちろん、ダイニングテーブルやリビング家具とのバランスを考えて選びましょう。
ここでは、主にシステムキッチンで使用されるワークトップの素材についてご説明します。
システムキッチンのワークトップは、継ぎ目が目立たないようにつくられるので、見た目もすっきり、継ぎ目に汚れが溜まらず清潔なのもよいところです。
素材はステンレスと人造大理石に加え、セラミックやクオーツストーン、樹脂製や有機ガラス製などの素材が選べます。システムキッチンのメーカーごとに商品ラインナップに特徴が出てきています。色や質感などは、実物で見て触ることが大切です。ぜひショールームで実物を見て比べることをおすすめします。
天然大理石を砕いて樹脂やセメントで固めた人工の大理石です。メーカーによってはアクリルやポリエステルの樹脂のみでつくられた人工の大理石もこう呼びます。使っている樹脂の種類や配合の割合により、特徴が異なります。使い勝手やお手入れの方法が違ってくるので、必ず素材を確認しましょう。
「コーリアン」という商品名を耳にされたことがある方も多いのと思います。天然大理石の風合いを再現した高級感があり、天然石のデメリット(水や汚れに弱い)を補うお手入れのしやすさが特徴の人造大理石です。しつこい汚れは中性洗剤で落とせて、簡単に清潔が保てます。
水や熱に強く、耐久性が高いためキッチンに適した素材です。少々熱い鍋を置いても大丈夫ですし、汚れてもたわしでゴシゴシこすり落とせるなど、ラフな使い方ができるので、油はねや水はねを気にせずに使いたいご家庭向けです。
キズがつきやすく見た目が気になるステンレスですが、最近はいわゆるプレミアムグレードのステンレスが登場し、高級感がアップしました。微細な研磨による「バイブレーション仕上げ」や、細い線状の傷を一定方向に入れる「ヘアライン仕上げ」はキズがついても目立ちにくく、シックな風合いが存在感を放ちます。
セラミックは高熱で焼いて成型された素材で、性質は強化ガラスに近いです。
熱や汚れ、キズに強いのが特徴で、熱い鍋をそのまま置いても大丈夫です。包丁が当たっても傷がつきません。孔がないため汚れが染み込まず、サッと拭くだけで、お手入れが簡単です。
さらに、焼き物の風合い、釉薬が織りなす色や光沢、質感といった、表現力の豊かさも特徴で、デザイン性が高いところも人気です。
天然石英(水晶)に顔料や樹脂などを加えて成型した高級人造大理石です。その耐久性と豊富な素材感から人気があります。90%以上の天然石英を含むため、その表情は多彩で、大きなキッチンにも映える柄が見つけられます。
キッチンはどの部位も毎日フル稼働します。その中でもワークトップは調理の作業以外にも、ふと手をついてみたりするので、その質感がダイレクトに手に伝わります。また、食器や鍋を置いたときのぶつかる音、擦れる音が気になったりします。そんな感覚的なことも、キッチンづくりのポイントとして考えましょう。
ワークトップは、どの素材も機能的に進化して使いやすくなっています。キッチンをどう使っているか、またキッチンをどう見られたいか、どんな空間にしたいか。そんなこともヒントにしながらワークトップ選びをしてみてはいかがでしょうか。