キッチンがなんとなく雑然としている、使いたいモノが使いたいときに見つからない…そんな不便はありませんか。作業スペースが狭くなっているのは、モノを置きすぎているからかもしれません。
キッチンスペースは限られていますが、そこにはたくさんのモノが集まります。包丁、菜箸のような細かい調理道具から食器、調理家電まで。それらをギュウギュウに詰め込むのではなく、「適材適所」に整理して置くことがポイントです。
今回は、キッチン収納を場所別に考えるポイントをご紹介しましょう。
まずは、キッチンでの作業の中心となる3つのスペース、「加熱機器」「シンク」「ワークトップ(カウンター)」のスペースに合わせて収納を考えていきましょう。
ポイントは、「使う場所の近くに収納する」ことです。
「【キッチン収納の基礎01】片付け上手になるためには」では「モノの指定席を決めることが大切」とご説明しました。よく使う場所の近くに置くモノを決めてしまうことで、ずいぶんとキッチンでの作業が楽になります。
◆加熱機器の下
たとえばフライパンや鍋は加熱機器の近くにあると便利です。オイルやスパイスなどの調味料も調理中にサッと使えるように、必要なものを必要な量だけ、その時に出すようにしましょう。
◆シンクの下
シンク側には、まな板や包丁、ボールやザルなど下ごしらえで使うものを収納しましょう。
◆ワークトップ(カウンター)の下
カトラリーやナプキンなどこまごましたものを入れる浅い引き出しや、食器洗い乾燥機を設置することが多いです。
フロアキャビネットとは、キッチン下の収納のこと。オープンキッチンが主流の今では、吊戸棚をつけないプランも増えているので、フロアキャビネットを存分に使いこなすことが、キッチン収納のポイントになります。
現在のシステムキッチンの主流は引き出し式のキャビネットです。日本のキッチンメーカーでは「無理のない姿勢で出し入れできる」がよく考えられていて、深い引き出しの中に浅いインナートレイと呼ばれる引き出しがついている商品もあります。重い鍋などは深い引き出しに、欲しい時にサッと手に取りたいバット類やボウル・ザルなど軽いものはインナートレイに収納します。
このようなインナートレイがない引き出しでは、市販の収納ボックスやスタンドを使って効率よく収納したいですね。
引き出し収納の良さは、上からざっと全体を見渡せるところにあります。詰め込みすぎず、空間に余裕を持たせることで、出し入れしやすくなります。
従来の吊戸棚は、高いところにあるため出し入れしづらく、「めったに使わないモノ」の置き場所になっていることが多いでしょう。オープンキッチンが主流の現在、あえて吊戸棚は設けないことも多くなってきました。
吊戸棚を設置する場合は、なるべく手の届きやすい位置まであるロングタイプのものや、電動で昇降するものを選ぶのもよいでしょう。
※ロングタイプの吊戸棚を加熱機器の近くに設置する場合は、必ず消防法を確認しましょう。
「手の届きやすさ」が解決できれば、調味料など普段使いとして活躍してくれるでしょう。
意外と場所をとるのが調理家電です。ポットや炊飯器、電子レンジといった定番ものから、最近ではエスプレッソマシンやワッフルメーカー、ジューサー、ブレンダーなど生活をちょっと豊かにしてくれる調理家電をそろえるお宅も多くなってきました。
炊飯器やポットなど毎日使うものは市販のキャビネットでまとめてしまうのがすっきりします。インテリアに合わせたシェルフなどでもよいでしょう。コンセントが仕込まれている専用のキャビネットなら、配線もごちゃごちゃ見せず、よりすっきりと使えます。
トースターやコーヒーマシンは、キッチンに出しっぱなしでもよいでしょう。デザイン的にも素敵なものが多く、「見せる収納」としてインテリアの一部にもなります。
ジューサーやミキサー、ワッフルメーカーなど毎日使わないものは、いざ使いたい時に「どこにいった?」「奥にあって取り出せない」となりがち。家電キャビネットに定位置を決めて置いたり、フロアキャビネットの引き出しの一番下を置き場に決めたり、とにかく「取り出しやすい定位置を決める」を心掛けてください。
ゴミ箱も同様に「置き場所を決める」ことが大切です。フロアキャビネットにダストワゴンを組み合わせられたり、キッチン下の目立たないところにゴミ箱を設置できるシステムキッチンもあります。
パントリーとは、食糧庫ともいわれる食品専用の小部屋のこと。いわゆる、食のウオークインクローゼットのようなもので、海外ドラマの家庭でもよく登場しますね。
もちろん、パントリーを作るには、キッチンスペースに小部屋を設ける余裕が必要ですが、そうでなくても天井までのトールキャビネットがあれば十分です。
奥行きはなくても、買いだめした保存食が一目で見渡せ、さっと手が届くのはもちろん、「買い置きしていたものの賞味期限を切らしてしまった!」「同じものをまた買ってしまった!」といった“目につかなかったこその無駄”がなくせて、食品ロスも防げます。
実際、新築時やリフォームで「小さくても作ってよかった」と満足度が高いのが、パントリー。キッチンの作業スペースから導線のよい場所を選びましょう。
収納はキッチンだけに収める必要はありません。
ダイニング側に吊戸棚や引き出しをつければ、食卓に食器を出すのもラクですしお手伝いもしてもらいやすくなります。吊戸棚があると、ダイニングとキッチンをほどよく仕切るセミオープンキッチンとなります。